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月別アーカイブ: 2025年8月

第15回キュービクル工事雑学講座

皆さんこんにちは!

株式会社キュービクルパートナーズ、更新担当の中西です。

 

~止めない電気~

 

キュービクルは設置して終わりではありません。稼働率・安全・電気料金に直結するのが保守・点検BCP。本記事では、停止を最小化するための点検体系と、故障予防・早期復旧の実践をまとめます。


1. 点検体系(例)

  • 日常・月次点検:外観、異音・異臭、計器値、温度、漏電表示、ファン作動

  • 年次点検:高圧気中部の清掃、遮断器・継電器の機能/動作、絶縁・耐圧、接地抵抗、端子トルク点検、進相コンデンサ健全性

  • 精密診断(必要に応じて):熱画像、部分放電診断、油入機器の油分析、絶縁抵抗トレンド解析

点検は記録が命。数値の“変化”を追うことで予兆検知の精度が上がります。


2. 劣化のサインと対処

  • 端子の焼け・変色:締付け不足・高調波影響。早期の締直し・端子更新

  • コンデンサの膨らみ・油漏れ:速やかに回路切離→交換

  • 遮断器の投入・開放不良:メーカー推奨のオーバーホール、更新時期の評価

  • 変圧器の温度上昇・異音:負荷偏重・換気不良を是正、必要なら容量見直し

  • 筐体内結露・虫害:換気・除湿、目張り、防虫材で再発防止


3. 予防更新・デジタル化

  • 保護継電器のデジタル化:整定値の再現性と自己診断で信頼性向上

  • 遠隔監視:電流・温度・漏電・力率・デマンドのリアルタイム監視

  • 無効電力補償の高度化:進相コンデンサからSVG等へ置換で高調波耐性UP

  • 高効率トランス:経年機を計画的に更新し、損失・発熱を低減


4. 事故・停電時の復旧プロトコル(例)

  1. 一次切り分け:高圧側/低圧側/負荷側のどこかを即判定

  2. 安全確保:感電・アークフラッシュ回避、関係者退避

  3. 復旧手順:遮断器・開閉器の操作順序を手順書で標準化

  4. 原因究明:ログ・熱画像・絶縁測定で再発防止を明確化

  5. 報告・改善:写真・数値・対策期日を添えたレポート

年1回は停電訓練と手順の棚卸しを。担当者交代時は速やかに引継ぎます。


5. 電気料金・品質の最適化

  • 力率改善:力率低下による割増回避、適正容量での補償

  • ピーク抑制:デマンド監視で空調・生産を協調制御

  • 高調波対策:フィルタ導入、変換設備の整定見直し

  • 配電の見直し:母線分割や重要負荷の系統分離でリスクを局所化


6. よくある質問(FAQ)

Q. 点検は営業中でもできますか?
A. 目視・測定中心の月次は稼働中でも可能。年次は停電を伴うため、夜間・休日で計画します。

Q. 交換タイミングの目安は?
A. 端子・コンデンサ・遮断器など消耗部品は経年+状態で判断。記録値の悪化傾向が更新のサインです。

Q. 遠隔監視は必要?
A. 24時間稼働や無人時間帯が長い施設は効果大。早期検知→計画停止で被害を最小化できます。


7. まとめ

「止めない電気」は点検記録×予防更新×復旧手順の三点セットから。私たちは、月次・年次点検、精密診断、緊急対応、更新提案までをワンストップで支援します。まずは現地点検とヒアリングから、御社の設備に最適なプランをご提案します。

 

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第14回キュービクル工事雑学講座

皆さんこんにちは!

株式会社キュービクルパートナーズ、更新担当の中西です。

 

~キュービクル更新・新設の教科書~

 

工場やオフィス、商業施設の“電気の玄関”であるキュービクル(高圧受電設備)。更新や新設は一度の判断が10年以上の操業に影響します。本記事では、現地調査から受電までの実務ポイントを「失敗しない順序」で整理しました。


1. そもそもキュービクルとは

電力会社からの高圧(一般に6.6kVなど)を受け、施設で使う低圧へ変換・保護・計測する設備の総称です。主な構成は以下です。

  • 受電部(高圧気中開閉器、負荷開閉器、計器用変成器 など)

  • 変圧器部(油入/モールド/アモルファス等)

  • 配電・保護部(遮断器、保護継電器、計測器)

  • 進相コンデンサ/無効電力補償機器

  • 換気・防錆・防水・防虫等の筐体付帯設備


2. 現地調査の要点(ここで8割決まります)

  • 将来負荷:設備投資計画・EV充電・増設余地を反映

  • 設置環境:塩害・粉じん・高温多湿・屋上設置の可否

  • 搬入経路:クレーン可否、基礎寸法、共用部の養生計画

  • 停電調整:営業・生産への影響最小化、仮設電源の要否

  • 接地・ケーブル:既設流用可否、端末処理方式、経年劣化状況


3. 設計の勘所

  • 容量設計:デマンド実績+将来計画、力率改善の前提を統一

  • 保護協調:高圧~低圧の遮断器・継電器を一気通貫で整合

  • 配線方式:単独受電/ループ受電、冗長化(母線分割・常用/非常)

  • 環境仕様:防錆等級、塗装仕様、換気・除湿、虫害対策

  • メンテ性:前面操作・引出し構造、点検窓、予備スペース


4. 施工ステップ(代表例)

  1. 工程計画・停電日確定(関係部署・テナントへ事前周知)

  2. 基礎・アンカーボルト施工(レベル・芯出し)

  3. 搬入・据付(クレーン/フォーク、転倒防止・養生)

  4. 高圧・低圧ケーブル端末処理(圧着・収縮・トルク管理)

  5. 接地工事(規定に適合、共用・個別の取り回し最適化)

  6. 機器間結線・表示(相順・識別・銘板)

  7. 各種試験:絶縁・耐圧、継電器動作、母線導通、機能試験

  8. 受電前確認・立会(所内ルール、関係機関・電力会社の手続)

  9. 仮設撤去・引渡し(試運転ログ・竣工図・取扱説明)


5. 省エネ・運用のアップデート

  • アモルファス変圧器や高効率トランスで待機損失を低減

  • デマンド監視でピークカット、空調・製造設備と連動

  • 無効電力補償(進相コンデンサ/SVG)で力率改善

  • 遠隔監視で温度・電流・漏電のトレンドを常時可視化


6. よくあるつまずきと対策

  • 停電時間の超過 → 仮設電源・段階切替・夜間作業で回避

  • ケーブル長不足・曲げ半径超過 → 施工前の3D動線確認

  • 結露・虫害 → 換気フィルタ・除湿・防虫パッキンを標準化

  • 騒音・振動の苦情 → 変圧器仕様と基礎防振で抑制


7. まとめ

更新・新設は「容量・保護・環境・メンテ」の4点を押さえることが肝心です。私たちは現地調査→設計→施工→試験→受電→運用支援まで一社完結。操業を止めない計画で、安全・品質・納期を両立します。まずは現地調査からご相談ください。

 

 

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